発達障害一人暮らし奮闘記

発達障害(おまけに精神障害)診断済みの23歳女が1人でどうにか生きていく記録です。

【エッセイ】彼女が自傷する本当の目的を誰も知らない

自傷』『リストカット』という言葉は、独特の湿度と色彩を帯びている。友人から「リスカしちゃった」と言われたら、おそらく「あっ…この人そういうことするんだ…」と引いてしまう人が多いんじゃないかな。

ネットに蔓延っていた「メンヘラ」という蔑称は、いつの間にか日常にも浸透した。そういう類の言葉を使う種類の人と、私は深い関係にならない。でも「メンヘラじゃんw」「いやメンヘラか笑」というセリフは、やっぱり聞いたことがある。胸がチクっとする。

私は自傷歴約7年の中堅です(出来ればOGになりたい)。なので、もしかしたら、自傷に対する考え方が独特かもしれません。

でも、いわゆる「フツーの人」の自傷する人に対するイメージって、こんなんじゃないだろうか?

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自傷する人に向けられるスティグマ

「ねえ、腕切っちゃった…見て…」と言って痕を見せたり、写真を撮って送ったり。もちろんそのような人が全くいないわけじゃない。注目を引く、という目的で自傷を行う人だって、存在する。

ただ、全然違う目的で自傷を行う人も、同じく存在する、ちなみに、補足するならば、この「注目引きタイプ」だって、単にイタいヤツとは限らないんだぜ。

友人や家族がいきなり腕を切っていたら、驚く。心配する。声をかける。…最初は。周囲の人間は、案外すぐに「慣れる」そうだ。

つまり。注目引きで自傷を繰り返す人をそのままにしておくと、『もっと過激なことをして、注目を引こう』とエスカレートする危険性がある。

そもそも、「タダの目立ちたがり」「痛いヤツ」であるならば、もっと別のベクトルに向かってもいいはずだ。インスタで#いいね返しを付けまくればいい。周囲の人間に「私すごいでしょ」と話せばいい。でも、彼らはそうしない。彼らの何かしらの衝動は、なぜ、"自傷"という行為に繋がるのか。そこには何かしらの因果があるはずだ。

自傷の目的って、とても、わかりにくいものだ。医師でさえ、診察の中で継続的にアセスメントを取り、慎重に見定めていくのだから、一般人が本当の目的を見抜くことは限りなく難しいだろう。だが、背景要因を探り、そこにアプローチするという作業は、注目引きタイプにも、別タイプにも、平等だ。いわゆる「リスカするファッションメンヘラ」だって、治療の対象外じゃない。それが長期的に続いているならば、専門家が介入するべきだ。

▽私がかけられてきた言葉

私が現実世界で「自傷しちゃうんだよね」と告白することは滅多にない。メリットが一切ないからだ。誰かに言いたいとも思わない。でも、お付き合いする男の人には確実にどこかのタイミングでカミングアウトしていた。そういう女が生理的に無理だとしたら、騙してるようで悪いなと思っていたから。あとは、タイミング悪く体を見て、「気付いちゃったけど聞けない」みたいな状況にするのもなんか嫌だったから。

するとまあ、皆、似たような反応するんだよね。私もそんなに百戦錬磨な恋愛をしてきたわけじゃないけど、揃いも揃って、「しそうになったら俺に連絡して」、「そういうの聞くと俺がしんどい」、「わかってあげられなくてごめん」、「もっと僕を頼ってほしい」…

わかっている。フツーの人は、カウンセラーでも医者でもない。フツーの人だ。自傷行動が見られる人に対する接し方なんて知るわけがない。彼らは何一つ悪いことをしていない。

でも、なんか、嫌だった。

(俺がしんどいって言われても…ホラ、欠陥を隠して商品売るみたいだから一応申告しただけで、私は別にしんどくないんですが…)と変な気持ちになったりした。

でも、中には先天的に?踏みがちな地雷を踏まない人もいた。「え〜そうなんだ」「大丈夫?」とは言うけど、そんなにその話題に触れず、お腹空いたね〜って言うような人。プーさんみたいだよね。そうそう、プーさんって、内面は意外に冷酷だけど、よく見るとマズローの治療的人格の必要十分条件(共感的理解、自己一致、無条件の肯定的態度)をクリアしてませんか?

そんなのどうでもいいって?失礼しました。ともかく、それはすごくありがたかった。過度に反応するのではなく、過度に遠ざけるでもなく。

考えてみれば、動物だってストレスを与えられると自分の体を傷付けるじゃないか。ストレスがあり、そのストレスに対処できない個体が、自傷に走るのは異常じゃない。それが正常なのだ。

だから、周囲の人は、何もしなくていい。自分の言葉で助けようなんてしなくていい。彼が、彼女が自傷するメカニズムを知らないのなら、医療機関に繋げるだけでいい。

自己完結型自傷

話を戻そう。「注目引きタイプ」以外に、どんなタイプの自傷があるか。これ知ってほしいな〜と思うのが自己完結型」の自傷である。

まずはこのイラストを見てほしい。

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作:私。なんともサイケデリックなイラストになってしまった。ノリで描いたお花のTシャツが超ミスマッチ…ということはともかく。私、自傷する時、こんな感じなんですよね。

▽どういう状態なの?

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私のノーマルなやり方は、自分で自分の頭を叩くという方法だ。でも、自分で自分を叩いているという感覚は一切無い。頭の中の人が私を叩いている。なので、私は「死ね死ね死ね!クソ!」と笑いながら人を叩いている。本体の私は無表情だ。その時、そこに私はいない。殴っている体は私そのものだけど、精神はその時、無い物とされている。頭の中の人が叩いているのだから、私はそれを止めることができない(そう合理化するために、頭の中の人を存在させているのかもしれないが)。

終わると「痛い…叩かれるようなことしてごめんなさい…」と泣けてくるのだ。いや、自分でやっといて何だよ!と自分でもズッコけたくなるよね。

そして、一通り終わると、自傷する前より気持ちがスッキリしているのだ。私はそろそろ寝るかと何食わぬ顔で布団を敷き出す。

ちょっと解離みたいな所もあるんだろうけど、要は、一種のストレス解消法として自傷行為を使っている。

▽どうしてやめないの?

これに関しては、ちょっと言葉を濁してしまう。止めたいという気持ちはある。めちゃめちゃある。例えば、お金で解決するのなら、20万くらいは即出せる。(今の私の経済状態で、ということである。有り金は全部出せる。)

自傷をやめられない人って、自傷という行為の依存症なんだと思う。

もちろん、DSM5に自傷依存症なんて病名はないんだけど…

自傷するという行動の結果、周囲の注目を引ける・ストレスが発散できる・嫌なことから逃げられる・その瞬間だけ夢中になれるっていう、メリットを得る。その構造から抜け出せないのだ。

ただ、それは一時的なものでしかない。周囲の注目は薄まっていく、明日も会社には嫌な上司がいる…そんなこんなで、自傷が習慣化してしまうんじゃないだろうか。

アンガーログをつけたり代替行動を試したりと、私も一応努力はしている。でも、大きなストレスが掛かった時、ストレスが重なった時、つい手が出てしまうのを止めることは、とても難しい。

やめないんじゃない。1人ではやめられない。だからこそ、医療や臨床心理の介入が必要不可欠だ。

▽最後に

変な紙芝居みたいなイラストは、こないだ衝動的に書き殴りました。

これを元に文章を書いてみると、案外スラスラと筆を走らせることが出来た(実際はチェルシーを舐めながらスマホフリック入力してるんだけどさ)。

そして、私は誰かに何かを伝えたいらしいので、その意を汲んで書こう。自傷をあんまり変な行動だと思わないでほしい。

私が飼っていたハムスター(名前:はむちゃん)も、一時期母親の生活音がうるさすぎて自分の体を掻きまくっていたよ。

メンヘラじゃんと笑われているその彼は、彼女は、あなたと同じように飯を食って布団で寝てスマホ弄って生きてきた人なので。ストレス溜まったなーとか、仕事キツいなーとか、そんな、あなたにも馴染みの深い理由が自傷に繋がってるかもしれないので。変に刺激を与えるようなことを言わず、でも本当にしんどそうだったら医療に繋げてください。

自己完結型とかは、私の造語です。そんな用語はないぜ!ワハハ! ワテはしっかり知りたいんやでという方、自傷行為やABAについて調べてみてください。そして浅学な私に情報を流して貰えると、私が楽に知識を得ることが出来ます。